3年にわたる“創作の旅”を経て、ようやく18枚目のオリジナル・アルバムが完成しました。2016年にスタジオに入り、一昨年の春、今年の6月に開催される「第70回全国植樹祭 あいち2019」の大会イメージソングの制作を委嘱されて、それをきっかけに本格的にアルバム制作へ。気づいたら前作の『NO RAIN,NO RAINBOW』(2013)から6年が過ぎていました。
アルバム・タイトルは『fierte(フィエルテ)』。フランス語で、「誇り」「自負心」といった意味をもちます。私のなかでは、すくっと背筋を伸ばして、明日を見つめてまっすぐに進んでいくイメージです。いま、自分が歩いてきた道のりを振り返るとき、なにもまちがってないというか、まちがいはいっぱいあったかもしれないけれど、それも含めてちゃんと責任をもって歩いてきたといえる。これから続く道にも思わぬ落とし穴があったりするかもしれないけれど、これまでどおり誠実にまっすぐに歩いていけばいい、といまは思えるんです。そんな思いをこめたタイトルです。
ソロ・デビューしてもう34年、あみんから数えると37年になります。けっして平坦な道ではなかったけれど、いま50代半ばを過ぎて、こんなに長く音楽を続けてこられて幸せだなってつくづく思います。それとともに、この幸せな時間をあとどのくらい送れるのかと考えてしまう。最近はコンサートでも、これが最期かもしれないという思いで、毎回のステージに立っています。 今回のアルバムも一曲入魂、もしこれが最期になったとしてもいい、そう思えるようなものをとつくってきました。だから、赤裸々にいまの自分の思いを綴っていたりもします。
自分のなかでのテーマは“誠実”。レコーディングをしながら、20代、30代のころ、不器用なほどひたむきに自分自身と向き合って、毎日を必死で生きていた自分を思い出していました。そしていまの私のなかにも、あのころの自分がたしかにいる、と確認できた。うれしかったですね。これからもマイクを置くその日まで、創作の筆を置くその日まで、頑張って生きよう。一日一日と、そして自分自身と誠実に向き合って、真摯に音楽を紡いでいきたい。そうして生まれた歌たちが、リスナーのみなさんの心に寄り添うことができるのなら、幸せです。
岡村孝子
(※2019年2月下旬 アルバム完成時のコメントです)